2022/02/27

この日のはなし ー 晴れ渡る平日

 

今週も先週も先々週も、週末は雨だ。
そして毎週、日曜日はすっきりと晴れる。

朝からフィールドへ出る道すがら、
丘を降りる坂の途中には、昨日までの雨が
うっすらと水蒸気になって、もやがかかっていた。

どこへ行っても天気の良さが、日曜日の、やもすると
重い空気を一掃している。
もはや、憎たらしい。

アンマン市内にも、アーモンドの花が咲き乱れ
庭先の花々を見るたびに、止めて鑑賞させて欲しいと
口にしようとして、ぐっと堪えることになる。

学校を数件回り、協力的なところもあれば、
そうでもないところもあり、その違いも含めたすべてが、
どこまでも、いつも通りだった。
慇懃な顔、誠実な顔、不信な表情、労りの表情、
なんだか本当に、たくさんの表情を
こちらの人は見せてくれる。

その後、そのまま事務所も2カ所訪問する。
どちらの事務所も、アンマン市内で一番栄えている場所にある。
私の住んでいるところからしてみたら、
田舎から都会に登ってきたぐらいの違いはある。

街の中心地にあるビルの屋上へ案内してもらう。
そこから見渡すアンマンの街は、
緩やかな盆地になっていた。
10年以上住んでいて、初めて知る事実だ。
確かに、考えてみたら高度の上がる地域が周辺にあるけれど
中心地からはこんな風に見えるとは知らなかった。

浅くもやのかかった街並みには、普段私がみている景色よりも
一段も二段も高くて、ひどく新鮮だった。

事務所訪問をしては、人に何かを納得させるべく、言葉を口にする。
なんだか今日も、馬鹿みたいに話し続けている、と
最後の訪問を終えて、呆然とする。


そこへ、午前中フィールド回りの間に、
ポケットに入れていた携帯から勝手にかかってしまった
いくつかの電話の一つから、折り返し電話がかかってくる。

夕方の帰宅ラッシュで騒がしい幹線道路の脇で
小さく遠い声に、私の方がなぜか、怒鳴りながら話している。
相手の声が遠いのに、私の声が遠いとは限らない。
けれども、大声を出し続けている自分が、ふと
とても滑稽に見えてきた。

なんだか、いつもこういうことなんだよな、と思う。
一人で、声高に何かを話し続けているのだ。
空を見上げる。


ひどく晴れた空は、ひどく物事を明確にする。
それが休日であったならば、もう少し
明確になることに、楽しみを孕んでいたのかもしれない。
今日が週の初めであることが
ひどく理不尽に思えてくる。





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