2010/03/30

心安い土地になる、ということ



ホーチミンへ戻ってくる
深夜12:00をまわっていた
夜はそれでもまだ、涼しい27℃
空港からのタクシーも、窓を全開にすればそれなりに気持ちがいい

同じ仕事場の人たち3人と同じ飛行機だった
一緒にアパートメントへ帰る

オレンジ色の電燈に彩られた夜の街並を眺めながら
他の3人が勝手気ままに続けている、日本でのはなしを聴く
風は生ぬるく、あたたかい

どうも、早くここへ帰ってきたかったようだ
気候が、ということもある
ただ、それよりももっと、何か身体の感覚として
どこか、心安い

他の人たちが、日本へ帰りたいと
今さっき発ったばかりの土地に恋いこがれている気持ちを
いろんな表現で云い表している
本当は、そういうものなのか、と
いくらか不思議な気持ちで、聴きながら
飛行機の中で見た満月を確かめようと
窓から空を仰ぎ見る

日本でもきっと変わらない、明るい月だった

2010/03/23

昼間の街





平日の昼間は仕事があるので滅多に出られない
仕事が切れたので、初めて休みを取って街へ出る

市場の様子
蓮の生花を初めて見る
青い海老、縛られた蟹
生気に満ちた人々


2010/03/20

呼び起こされるもの 思い廻らせること

熱を帯びた風から
もうそろそろ1年が経つこの土地についた日のことを
思い出す
飛行機から出た瞬間の
身体を押し上げられるような空気の塊のことだ

たくさんのことがあったようで
たくさんのことを感じたようで
でも、土地に根ざしたものがなかったり
成長が実感できなかったり
むしろ停滞しているのではないか
後退しているのではないか
自分に対する不満がつのる

来週、ほんの短い期間だが、帰国する
何を携えて、帰国をするのか
何か、この土地について
この1年について
愛情を持って話すことができるのか
ずっと、でも、随分ぼんやりと、考えている

2010/03/18

逃避行


仕事に切れ目がついて、いくらか時間に余裕ができる
もちろんすることもあるはずなのだけど
ぼんやりとしてしまって
誰も買って出ない屋外での仕事などをしながら
敷地の外の、草の揺れる野原などを眺めていた

どんどんと暑くなってゆくこの季節
雲はいよいよ夏空の形になって
風が熱気を帯びる

久しぶりに草の葉が摺れる音を聴く

こそこそと、さぼりの高校生のように
外仕事の合間、建物のかげに隠れ
本を読む

また、須賀敦子を読み
また、いしいしんじを読み
弥生ついたち はつつばめ、とか
とん、たたん、とん、などと口ずさむ
それからまた、仕事の続きをする

2010/03/10

バイクの後ろ

こちらの交通手段といえば、圧倒的多数の人がバイク、と答えるかと思う
個人的には、こちらへ来てから、タクシーに乗ることがほとんどだった
自転車を持っているので、週末は自転車に乗ったりもする
セオム、と呼ばれるバイクタクシーに乗ることも少なくない

週末、バイクの後ろに乗せてもらって少し遠出をした
何が特別かと云えば
ヘルメットを買ってしまった、ということだろう
二人乗りまでは合法だけれど
ヘルメットがなければ捕まってしまう
たまたま、バイクの持ち主が予備を持っていなかったので
どうにもセンスの悪い、たった、ほんの200円ぐらいの
ヘルメットを、買ってしまった
捕まらないための飾りだ

バイクの後ろは気持ちがいい
運転をするにはあまりにもストレスの多い交通ルールも
後ろに乗っているだけではそれほど感じない
もっとも、あまりにバイクの量の多いところでは
膝が隣のバイクと当たってしまうのではないかと、心配になるけれど
単純に、風が、ここの暑い気候に心地いい

バイクに乗ることは
そろそろ1年になるこの土地で
新鮮に、ベトナムに居ることを感じることができる
一番の方法のようだ