2011/01/09

映画館へ往く

年末に「めがね」をみた
邦画はいいな、とつくづく思う

こちらで邦画みられる機会はほとんどないし
英語の映画は当然
字幕はベトナム語だから
ほとんどわからない、という事態になる

「ノルウェイの森」は日本語だし
見たかった映画でもあったので
一昨日からの上映を待って
満を持して出かける

相変わらず、トラン・アン・ユンの映像はきれいで
日本の山の中の季節の様子や
東京での60年代の服装や部屋など
細かなところまでよく、絵としてできていた

映画の内容に関しては
確かにあの原作を映像にしたら
こうなるだろうな、という感じで
ヴェネチアは取れない、というのが正直なところだった

服装や家の様子が
どうも今のベトナムと似ていて
リノリウムの床や
細い鉄パイプの椅子の足や
ぴっちり纏めた女の人たちの髪や
同じようにぴっちりした柄シャツの男の人たちが
見慣れているようで、不思議だった

興味深かったのは
ベトナムの人たちのストーリーに対する反応だった

どうにも濡れ場が多い
小説の中の
性の中に何かを見いだしながら
その場をやり過ごすしかない人々の
どうにもならない姿が
どうも、ベトナムの人たちにとっては
おかしく見えたようだ

おかしい、というのは頭がおかしい、というのではなく
コミカルに、見えていた、ということ
原作を読んでいたら、笑えないような
相当切羽詰まった、追いつめられた心境での台詞も
軽く卑猥な会話は
笑いを誘っていた

いや、そうじゃないだろう、とも云えるのかもしれない
ただ、そう見えてしまう映画でもある
たぶん、ベトナムの人々の中には
根本的に映画の主題の”気持ち”の部分のようなものが
なじみの薄い感情のようだった

だから、どうも随分と冷静に
私も映画を見ていた

隣の若いベトナム女性の二人が
日本語を勉強しているのか
ありがとう、とか、そうなの、とか、わかった、とか、もちろん、という台詞を
繰り返してつぶやいていた
なんだか、かわいらしかった