2012/05/08

サルトで

困ったことに、仕事先の大元、UNRWAがストライキに入った
予期せぬ休暇


ただ、どこかへ旅行へ行けるわけではない
同僚から電話がかかってくれば、即、出勤


近場で気分転換をしようと
すぐ隣の街、サルトへでかける


友人が観光のボランティアをしている
彼女のつてを使い
職業訓練校を見学した


モノを作る空気に満ちあふれた室内
大学の仕事場など比にならないほど
大きな部屋と設備があった


イタリアの支援がしっかりと入っているらしい


織物、シルクスクリーン、溶接、美容にならんで
陶芸があった


陶芸の階の一番奥に、粘土作りの部屋があった


今まで粘土は買ってくるもの
日本でも、粘土層へは往ったことがあったが
精製してつくる工程を見たことはなかった


部屋の担当、兼講師のナーマは
仕事熱心な女性で
訪れたどの部屋よりも熱心に
設備の話をしてくれた


でも、話し終えるとすぐに
自分の仕事に戻る
広い部屋の片隅で
小さなオブジェを作っていた


なかなかこの土地で見ることのなかった
モノ作りへの姿勢を


見せてもらった

2012/04/21

ヨルダンの春




ヨルダンの春は、随分あかるくてにぎやかだ
春は花が咲き乱れ
子ヤギがよく跳ねる


もう、少し春には遅いぐらいの時季になってきた
枯れかけた花の跡も
青い草の中に点在する


ヨルダン北部、アジュルンという地域の丘の上
百年以上の年月を生きるオリーブの林が続く




持参した食べ物をいただき
春の空気を満喫する
それが、何よりも楽しかった


空には雲一つなくて
日差しはカメラが捉えきれないぐらいの
目一杯の光


もう、木陰の方が気持ちがいい
日差しの下では、暑いぐらいだ


樫の木の林の中で
ごろりと横になる


下から見上げる樫の木の枝の間には
小さな小鳥の巣がある
遠くからヤギを追う犬と男の声が聞こえる


空気がおいしかった


アンマンにも春はある
バカアにも春はある


ただ、日頃の生活の場は
うとましいものごとが多い


誰の目もはばからず
ただ、木の下でぼんやりすることが
ずいぶんと、自由に思える


日本ならば
喫茶店にあって
公園にあって
街中にあった自由だ


ヨルダンで、初めて感じた
身体や気持ちにとって、自由な場所だった


人里離れた丘の上



2012/04/09

死海マラソン



先週の金曜日、死海マラソン


障害者分野のボランティアが活動をする施設の
生徒や利用者たちの参加にあたり
伴走する、という手伝いをしてきた


今回一緒に走ったのは、ライダさんという人


彼女はあまり話さないけれど
穏やかで、笑顔も多い


暑い日だった


死海のほとりを走る道路を往く10キロコースは
はじめから最後まで
死海周辺の気候だから
湿気も多いし、日差しも強い


でも、ライダさんは最後まで歩いた
途中ほんのちょっと休憩をしたけれど
歩調はほとんど、変わらなかった
しっかりした足取り


参加者の多い10キロコースは
周りに人が溢れていた
きっと彼女も
こんなにたくさんの人たちが道を歩いている様子なんて
見たことがなかっただろう


だから、アンマンマラソンの時と同じように
ずっと手をつないで、走ったり歩いたりした


でも、暑いのだ、とても


だから、ライダさんは途中で
くるり、と私の後ろへ回って
私の反対の手を、取った
歩きながら器用に


私と彼女はお互いに
少し汗ばんできたな、と思ったら
くるりと、反対の手に移動する
それが何だか、素敵だった


どうも彼女はいたずら好きで
さりげなく人の肩をちょこっと叩いたりするのが
好きらしい
誰だろう?と振り向く人たちの様子をみるのが面白い




皆で記念撮影をしているときも
前に座っている人の肩をつっつく
それから、きゅっと、自分の肩をすくめて
いたずらっぽく笑う


それを見ているこちらも
思わず、にやっと笑ってしまうのだ


10キロ歩いたあとでも
まだ、そんないたずらををやってのける彼女と一緒に
参加できた今回のマラソン


随分と楽しかった







2012/03/31

السوسنة السوداء في عراق الامير


仕事が早く終わったので
少しだけ、遠出をする
イラク・アル・アミールという
2世紀頃の遺跡を目指す


ただ、本当の目的は遺跡ではない
今の時季にしか見られない花を
見ておこうと思い立った


野生で咲くアイリスの様子が見たかった




ワディ・シールという土地からさらに
バスを乗り継ぐ
バスはずっと、緩い渓谷の沢から一定の距離を保って
起伏の大きな山並みの斜面に沿った道を往く


遺跡は、山並みの遥か遠く先まで見渡せる
広く小高い土地に、ぽつん、とあった


ヨルダン人の家族などが
車でピクニックに来ている
やぎが草を食み
産まれたばかりの子やぎが跳ねる


遺跡の敷地にはアイリスは咲いていない




そこから少し坂を登った
岩肌の見える斜面に
たくさんの小さな花々と一緒に
アイリスも咲いていた



ヨルダンの国花が、ブラックアイリス

ジャーマンアイリスの一種なのだと思う
形は同じだが、他のジャーマンアイリスのように
黄色い筋や、色の濃淡はない
濃い黒紫色の
他の花々のような華やかな春の色とは異なる
強いぐらいの色の濃さが
遠目からでも目立つ


ただ、よく足元を見ると
タイムやらラベンダーやらウイキョウやら
ハーブ、と呼ばれているものが
いたるところに生えている
それから、野生のアネモネ、アザミ


静かな土地だから
色々な種類の鳥の鳴き声と
ミツバチの羽音だけが響く







2012/03/30

屋外

春が来た、と思ったら
雨が降ったり寒くなったり
随分と不安定な日が続いている


三寒四温なんて、日本の言葉だと思っていたけれど
ヨルダン、少なくとも
アパートメントのあるアンマンでは
この言葉がぴったりと当てはまる


でも、今日から時差も夏時間に戻る
確かに日は長くなった気がする


身体は時間と光の関係を
思いのほか記憶しているようだ
だから、外を見る度に
微妙な違和感を感じてしまう


金曜日
春らしい景色を見に往きたかった
でも、ずっと悪いままの具合が
往く気を削いでしまう


だから、仕方なく買い物などへ、往く








アーモンドの花が咲く
それから、小さな猫たち


おそらく雨の降る時季が決まっているからだろう
外に家具を置きっぱなしにしている様子がよく見られる


風は冷たい
黄色や白のかわいらしい花々は
震えるように揺れている
雲が思いのほか早く流れていって
作る影にショールを首元までたぐり寄せる








2012/03/11

歩く、日

今日という日、歩くことにした
だからなんだ、と
自分でも思う

不在だった負い目や
想像力の限界
無意識に心へ働く制御を感じながら
去年と同じように
また、今年も遠い土地で
歩くことにした

春の気配に包まれた薄曇りの空と
たくさんの黄色い小さな花

去年と変わらないのは
ひどい砂埃と横着で無鉄砲な車と
うっすらとかく汗

結局のところ
こんなところでどうしたらいいのかわからないのだ
それは、去年もそう、今年もそう

ただ、歩いている間
例えば、ある、自分に似ていた人のことを思う
今晩の食事をどうしようか、とか
あの仕事、やりたくないな、とか
なんでもっといいことが云えなかったんだろう、とか
お店にあったあの服がやっぱり欲しいな、とか

きっと、そういう人たちが居た
だから、会ったこともない人たちのことを、考える

それから、自分のことを少し、考える

誰にとっても意味なんてない
ただ、歩きたいから、歩く




2012/03/03

窓の外についての雑記



そんなわけで、一日中家に居るから
天気の移り変わりや
外で動くものを観察するそれぐらいしか
変化のあることがないのだ


分かったこと


高地なので雲の中に入る
雲の中に入った時の方が
暖かいし、雨も雪も、降らない


この土地صويلحでは、基本的に風は西から東に吹く


鳴った雷は必ずどこかに落ちているよう


薄い雲が空を覆う時が
一番明るい


周辺に住む人々も、やむをえない時と
雪合戦の他は、家に引きこもっている


当然、傘などささない


そして
小鳥は意外と、雪の中でも平気だ


などなど
どうでもいいことごと