2011/07/24

The Remains of the Day



最近、夕方はベランダで過ごしている
部屋の中には人がいっぱいで
何を話したらいいのかわからないからだ
たぶん、そういう人たちと心地よい会話ができるほどの
人格を持っていない

北側に向いたベランダからは
近くの家の屋上が見えて
貯水タンクの修理をする人や
洗濯物を取り入れる女中さんや
小屋に戻る鳩の群れが見える

日が傾いて夕暮れの気配が訪れるのは
8時近い
空の色が変わる
よく澄んだ浅い紫色の空

なぜか、時折
The Remains of the Dayというフレーズが出てきた

そんな折に、図書室で
「日の名残り」を見つけて
あまり時間もないのに
つい夢中になって読んでしまった

あまりに気に入って
原本も読んでみて
分からない部分も多かったけれど
dignity、と繰り返し口に出して唱えてみたのを思い出す

乾いた土地で読むイギリスの田園風景と
あまりにも抑制のきいた主人公の言葉や感情の往く末は
もう、何度目かのはずなのに
深く身体の底に
云いしれない感慨を残す


「夕方が一日で一番いい時間なんだ」
きっと、この言葉だけをよく覚えていて
それがどんな状況でのセリフだったのか忘れてしまっていた

後悔を苦く噛み締める
そして、夕暮れ時の海辺の広場で
広場を彩る夜の灯がともるのを、待つ

訳者のあとがきでは
「その日一日のなごり、つまり夢」
というフロイトの言葉にもつながりのある
題名だと、いう

けして、それまでの人生の名残りでは、ない

18時前のアンマンでは
まだ、空は高くて青い


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