2011/06/12

声の根、のようなもの


実家に戻ると
部屋には楽器があって、ついつい時間が過ぎる

ピアノをいつものように弾こうとして
よくよく慣れているはずの
重たい鍵盤を触りながら
でも、どうもこの音は
慣れてはいるけれど
好きではないな、と思う

ピアノの脇で電話などしていると
声がピアノに響く
おそらく私の声が
反響板に共鳴しているのだと思う

よくよく、響くピアノなのは
何となく知っていた
ただ、どうも響きすぎて
どこかキンキンとした音になる

つい最近まで違うピアノを弾いていたせいもあったか
この音の違いが、いつもより
気にかかっていた

街中に出ようと電車に乗り
ぼんやりと音楽を聴いていた
歌のバックにピアノが入る
丸みのある声に温かいピアノの音

いろんなピアノの音があるものだ、と思い
ふと、気づく

どうも、私の家のピアノの音は
音の基、みたいなところが
私の声に似ているのだ
だから、気にかかる

変に響くところなど、特に

特に高音域はペダルを踏まなくても
きん、と他の音に音が映ってゆくところなど

反対かもしれない

私が物心ついた頃には既に
このピアノは家に居た
この声の質は、ずっと
このピアノに共鳴し続けた
結末、なのかもしれない


ライサ フナーカ ハッル






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