2008/05/20

族長の秋


ガルシア・マルケスの代表作と云えば「百年の孤独」 

分厚い本ですが、値段もなかなかのもので

何度となく本屋でその、ずっしり重い本を手に取りつつ

何度となく値段も見直して、なくなく

諦めて帰ったものでした

「百年の孤独」は,結局他の人が購入したものを貸してもらう

というかたちで、やっと読むことが出来たのでした

たまたま、2、3週間前にstarnetという益子のお店に往きました

そこで、なかなか素敵な本の売り方をしていて、

魅力的な一文が載った封筒に、

その一文が入っている文庫本を入れて、売っている。

誰かに贈れるようになっていて、

一文だけで判断した本をプレゼントすることになる。

もちろん、自分に向けてのプレゼントでもいいわけですが

なかなか粋なことするものだな、と感心しました。

その、同じコーナーに置かれたのが、古本の「族長の秋」の文庫本

これは、表紙が見える形で売られていたのですが

昔の古本屋が必ずつけていた、

あの、トレーシングペーパーのような薄くて白い紙を

カバーに使っていて

思わず、撫でてしまうのでした。

都内の大きな本屋に往かないと置いていない代物でした。

それがこんなところに、しかも文庫であるなんて。

すぐに買って、読みはじめました。


さて、「族長の秋」は、百年の孤独よりも前に書かれた作品で、

知名度は先に書いた通り、百年の孤独の方がよほど有名なのですが

私個人の感覚だと、族長の秋の方が、面白い。

ストーリーはタイトル通り、ある架空の国の大統領が

その地位に就いて、そして水占の通り死んでしまうまでの

人生が描かれています。

話のながれ、というよりも、一つ一つのエピソードで

話が構成されているので、

ものすごく細かいパズルのようなものの集積でできた

話になっていました

たぶん私の中でのガルシア・マルケスの面白さ、みたいなものが

この話の中に圧縮して入っている

とにかく、きれいなものや汚いものや、非業なものや情深いものが

ごちゃまぜになっていて、時折人称や語り手までが

ごちゃまぜになってしまう大胆さがある、

しかも、あるものを描写するために列挙されるものやことが

あまりにも多くて、あまりにも色とリどり。


それがずっと、大きく脈打つようにひたすら

続いてゆくはなしなのです。

 

これを書く労力は計り知れないな、と、

さっき電車の中で読み終えてしまって

思うのでした。

 

関心のあるかたは、ぜひ。

 

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