2011/03/27

帰国の途中



ホーチミンでは
帰国には二つの意味があった
休暇や急用で日本へ帰ること
それから、すべてを引き上げて日本へ帰ること

物理的には
どうも、引き上げてきたようだった

まだ船便は届いていないけれど
ほとんどの荷物は実家につき
荷物をほどき
次の移動へ向けて整理をし
必要なものと、もう必要ではないものに分ける

底の薄いサンダルや
ぺらぺらのワンピースや
強力な日焼け止めや
虫さされのクリームや
大きなひさしの帽子はしまう

いただいた手紙や色紙も
専用の袋に入れ直す
でも入れながらまた、見てしまい
だから、こういうものは
なかなか片付かない


日本は、寒い

時々、ホーチミンで
ぐっと身の縮むような寒さが恋しかった

同じように今
身体の芯から緩むような
きりのない暑さが恋しい

南国から来た人のように
いつまでも手を擦り合せながら
どうしてそんな薄い格好をして歩けるのだろうと
街中を往く人々を眺める

小さな子を見るとつい、目で追ってしまう
東南アジアの人を見ても、つい目で追ってしまう
そして、とんでもなく時々
寂しくなる
本当に、ホーチミンの夢を見た

目の前にもやらなくてはいけないことが山積みで
でも、心はまだ南国に居て
心底、自分に困っている

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