2008/08/26

鯨のはなし―鯨の顔




朝、屋根の上を飛び交うウミネコの声で目が覚めました。
残念ながら天気は曇り。
今にも降りだしそうな重い雲に覆われていました。
少し散歩をして、いざ、受付へ。
8時半から受付、とのことでした。


往ってみると受付は、小さなパン屋さんでした。
でも、パン屋さんの壁には大きな鯨のポスター。
急に楽しくなってきて、意気揚々と港へ向いました。

船は2階建ての小型船で、
一階の船長さんは運転しながら海の様子を解説してくれます。
2階には、パン屋さんで受付をしていた女の人が
双眼鏡をもって、360度常に、見渡しています。

どうも、イルカや鯨を見つけるのはこの女の人らしい、
そう、勝手に決め付けて、その人の後ろ辺りにいました。
まもなく、イシイルカが数頭群れになっている、しっぽと背びれが見えました。

船長のおじさんは云います、
青森あたりでいるかの漁をしていて仲間が獲られるの見ちゃってるから
船が近づくと逃げちゃうんだな。
廉価のベーコンなどに使われる「その他の鯨類」
とは、ほとんどイルカだそうです。
気にして見たこともなかったのですが、驚きました。
イシイルカの柄はシャチのようなのですが、
そんな姿はちらりとも見えず、往ってしまいました。

イルカのほかにも、盗賊カモメなど、海上でしか見られない鳥たちもいました。

鯨をどうやって探すか
マッコウクジラがお目当てだったのですが
マッコウクジラは海中に30分ほど潜り
海面に7,8分息を吸いに揚がってくる、というサイクルで
肺呼吸をしています。
その7,8分を狙うのです。

その女の人(船長さんはハルちゃんと呼んでしました)は
遠くの潮吹きを見つけます。
そして、船長さんにだけ通じる無線で場所を伝えるのです
―11時の方向に2頭―
という感じです。
よく焼けたその女の人がとてもとても、素敵だった。
その日はたくさん鯨を見つけてもらいました。
12,3頭のマッコウクジラを見たかと思います。
潮を見つけるまではエンジンを切ります。
見つけた瞬間に、そこへ向けて全速力で船を走らせる。
船の感じも、なかなか良かった。


クジラが7,8分海面で息を吸う、
そして、最後に深呼吸をして
思いっきり勢いをつけて海底へと潜ってゆくのです。
だから、もぐる直前にしっぽを出して、潜ってゆく、
私たちは、そのしっぽを、見る。
あまり近づくと逃げていってしまうのですが、
それでも、浅く潜水したまま逃げるので
それほど遠くないところでまた、息をします。

そして、一頭、間違えて船の近くに出てきてしまったマッコウがいました。
出てきて、あら、と思ったのか、こちらの様子を伺いました。
女の人が「こっちを向いてる」
と云います。


見てみると本当に、頭がこちらを向いていて、
反るように尾ひれと頭だけを出して、
こちらを見ました。

マッコウクジラの顔を、正面から見ることができました。
クジラと目が合った。
私はそう、勝手に思っています。

その後も何頭かのしっぽを見ました。
最後にまた、イルカの群れを見送り、
港へつきました。

根室沖は海底が低くて深いので、
天気のいいときは、クジラの見える丘、という丘からも、
クジラの潮が見られるそうです。
そう、それから、国後島も、はっきり、見えました。
大きな大きな島でした。

さて、最後に
船を出していた、知床ネイチャークルーズというところの
ページを貼っておきます。
もうそろそろ、ツチクジラのシーズンがやってくるはずです。
ツチクジラがイルカのように飛んでいる写真が、載っています。
必見です。

それから、素敵な女の人と、「いい塩梅だ」が口癖の船長さんに
ぜひ、知床へ、会いに往って下さい。


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