2012/11/03

ひと気のない土地

ここのところ、二度ほど
ヨルダンの地方の遺跡を回る小さな旅に連れていってもらった

例えばシリアの町がよく見える
国境の町にある
例えば道もないような土漠の中の
何もない土地にある
ローマ時代からウマイヤ朝頃までの遺跡の数々

ヨルダンの歴史は、何度も聞いても複雑で
未だにはっきりと分かっていない
ただ単に、覚える気がないのだろう

でも、大小さまざまな遺跡が
国の全土にある
大きなものなら保存の手も入り
門番付きの金網に囲まれる

ただ、多くの遺跡は、大して守られもしないまま
若者のキャンプ地になったり
落書きの対象になったりして
日本の感覚のままだと随分と驚かされてしまう




正直なところ
もちろん遺跡を探訪するのも面白いけれど
そこへ至るまでの景色の方が好きだ

ここへ来て、ほとんど
何もない土地と
音のない場所を
たくさん見た

ただ、硬い玄武岩の大きな石の塊が散らばっていたり
わずかな草が生えていたり
小さな小鳥が2,3羽空高くを飛び去っていったり
遠くで車の音がしたりするぐらい




ひと気のない土地はいくらでもあって
その多くは、水がほとんどなくて
ぽい、と放り出されたら
それが、時間の差はあれど
直接死と結びついていることを
意識させられる

ただ、そんな土地は
そこはかとない魅力がある

なに、安全な車の中から見ているからだろう

そんなところにぽつねんと
遺跡があったりする

過去の人々は
どうやってこんなに生きていたのだろう

砂に白くなった生活の跡を見ながら
想像する


1 件のコメント:

MINATO さんのコメント...

ご無沙汰しております。
いつもいつも姉さんのブログは読んでますよー。
文章がすっごい好きなのです。

何もない広い大地にぽつねんとある遺跡。

あー行きたい。

ケニアは広い大地には動物がいたりマサイがいたり。
乾燥地帯ではないので、どこに行っても人の気配があるのです。
人気のない乾燥地帯がある北部は危険過ぎて立ち入り禁止。

死ぬまでにに行きたいな、ヨルダン。