2010/12/19

児童書の楽しみ

岩波の出している児童書に
実は小さな頃は、手を出したことがなかった
そんなお行儀のいい感じの子どもではなかったし
どれもこれも
たぶん教訓めいていて
つまらないだろうと
勝手に思っていた

あるバザーで
そろそろ終わりに近づいた頃
1冊の値段で
もう1冊もらえることになった
たまたま手に取ったのが
「コウノトリと六人の子どもたち」だった
他に、そそる本がさっぱりなかったから
どちらかというと仕方なし
何としても持っていってほしい店員さんに
根負けしたようなものだった

表紙のカバーも取れてしまっていて
よれよれだった

読み始めの感触は
正直、あまりよくなかった
やはりどこかにお仕着せがましい言葉や
わざとらしい台詞が気になってしまった

ただ、こんな機会でもなければきっと
出会わなかった本だろう
モーリス・センダックの描く挿絵の
どこか懐かしい白黒の子どもたちに励まされるようにして
読み進めていった


幸せを運ぶコウノトリのつがいを村に呼ぼうと
巣に使う車輪探しをしてゆくうちに
今までは話したこともなかった村の人たちと
仲良くなり
みなで力を合わせて車輪を手に入れる、というお話

6人の子どもたちと先生
そして、錫屋のおじさんやら
93歳のおじいちゃんやら
知りたがりのおばあちゃんやら
足のない意地悪なおじさんやら
個性的なキャラクターの人々と
子どもとの関わりが面白い

マインダード・ディヤングという著者は
アメリカに移住してこの作品で
ニューベリー賞を取っているけれど
本当はオランダの出身で
オランダの漁村に住む人々の様子が
生き生きと描かれている

また、どうもはじめにまどろっこしいと思った書き回しは
この著者の癖のようなもののようで
この書き回しによって
堀の泥に埋まった鉄輪をいろんな方法で探したり
難破船の中にある車輪をどうやって引っ張り上げたかなどが
随分と詳細に書かれていたりした
それがきっと、子どもにも興味深いだろう

きっと子どもが好きだったに違いない
子どものしそうなことが
よく描かれていて
それだけでも心躍った

いつかまた、
こんなふうに本と出会う時を
楽しみにしていたい


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