2010/01/08

リスボン物語



こちらでは、同じ監督の映画が
1枚に5,6本の作品が入って3枚組、などという形で売られている
「シャンドライの恋」や「ラストエンペラー」は
ベルナルド・ベルトルッチが撮っているもので
まだまだたくさんの作品が残っているから
全てを観たら、この監督についての何かしらを
深く知ることができる

同じような監督作品集の形で売られているもので
ヴィム・ヴェンダースを買った
気にはなっていたが、一つも作品をきちんと観たことがなかった

題名が気になって「リスボン物語」を観る
映画を観てどこかへ往ったつもりになれるかもしれない、そう思った

リスボン市から依頼を受けて作られた映画だと云う

映画の効果音を作る、録音技師である主人公が
依頼を受けたはずなのに不在の
友人である映画監督が住んでいたリスボンの古いアパートに居着き
リスボンの街を集音マイク片手に歩き回りながら
目と耳で、街の断片を捉え、保存してゆく


以前よく聴いていたマドレデウスが
バンドそのものとして出演していた
ヴォーカルの女の人がファドを唄う姿が
青い光の中で美しく映されている


そして、フェルナンド・ペソアの詩の断片が朗読される

   太陽の下では 音さえも輝いている
   私も音のように 所有されず独自の価値を持ちたい

ペソアの詩を主人公が朗読する
真っ青な空の下、きな臭いような古く黄ばんだ街並が
でも、だからこそ生き生きと立ち上がってくるような
音と言葉とともに映し出されてゆく

監督の部屋の壁にスプレーで書かれたことばが
いつまでも、残った

   あらゆる場所にいる あらゆる人間になりたい

これがペソアの詩の断片なのかは分からないが
このことばを携えてあらゆるものを見つめる視点とは
どんなものなのか
分かるようで分からないようで
いつまでも、ひっかかっている

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