2009/10/23

「君たちはどう生きるか」を読む


シンプルで、でも印象に残るこのタイトルは
もう長らく気になっていたものだった
確か、中学のときに読んだ気がするのだが
途中で止めてしまった
本の背景が持つ時代性が
どうにもなじめなかったからだった


でも、本屋でみれば、気にかかる
でも、見えない敷居のある本だった
こちらで、古本を見つける
大きくマジックペンで名前の書かれたもので
92年の出版のものだった
初版が82年なのも、
手に取ってみて初めて知った

主人公の中学生の学校での出来事
そのおじさんとの会話などから
成長の過程で一度は考える
人としてどうあるべきかの思考の断片を
提示している

実に道徳的なせいか
あとがきにも書かれていたが
理想主義的な昔の本、という印象を受けてしまうのは仕方がないのかもしれない
ただ、道徳的であるにはどうしたらいいのか
いい人間とはどういう人間なのか
という命題に真摯に取り組む純粋な歳の頃に
何かしらの光を入れるのは確かな気がする

この歳になり
その頃に描いた、人としての理想が
いくらか心ざわめかせつつ、でも
今はもう、手にすることのない明るく澄んだ色をもって
もう一度、少しの間だったが、立ち現れたような気がした

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