2010/04/14

同じようなかたちの中で



例えば、どこかコーヒーの飲める場所で
ずっと本を読んだり、仕事をしたり
メモを取ったりするのは
随分と以前から変わらない習慣のようで
だから、どこへ往っても、やっている
できないと、不安になる

最近は、だんだんと通うカフェのようなところも定まってきて
何件かのお店をぐるぐる
回遊魚のように回る
おかしいほど、日本にいる時と同じだ

たまたま早く帰れることが多くて
今日も好きな岩場にでも隠れるように
気に入った席に座る

行動が同じなように
でも、思考もあまり変化がないのかもしれない
にわかに、焦る

開かれない、ということについて
自分でどうにもできないで、いる
軸がないから、開かれない
揺れ動くような歳でもなくなって
なのに、さっぱり安定しないから
代わりに、閉じることで安定を得ようとしている

生活の形が変わらないのも
形式の中に安定を見いだそうとしているからかもしれない

日本にいる時と違うこと、といえば
いつもいつも
川からの風がまともに吹きつける
屋外が固定席になっていることで
その、外からの変化を
受け身の姿勢で、ただ、できるだけ身体いっぱい
感じようとしている

2010/04/05

太宰治など


日本から本を何冊か持ってきた
買った本もあるし、家から持ってきたものもある

なぜか、実家に帰ると必ず
太宰治を読んでしまう
たまたま、寝室の本棚にあるからなのだけど
すべて短編集なのが
寝る前に読むのに、ちょうどいいからというのも理由だろう

勢いで、こちらへ持ってくる
たまたま、こちらの古本屋で
「太宰治」という岩波の本も見つける

ここまで書かれたら仕様がないか、と思えてくるほど
ある意味自虐的で冷たくて、
でも、自分が大好きで、人にやさしく
心が忙しい人だ、と思う

 

2010/03/30

心安い土地になる、ということ



ホーチミンへ戻ってくる
深夜12:00をまわっていた
夜はそれでもまだ、涼しい27℃
空港からのタクシーも、窓を全開にすればそれなりに気持ちがいい

同じ仕事場の人たち3人と同じ飛行機だった
一緒にアパートメントへ帰る

オレンジ色の電燈に彩られた夜の街並を眺めながら
他の3人が勝手気ままに続けている、日本でのはなしを聴く
風は生ぬるく、あたたかい

どうも、早くここへ帰ってきたかったようだ
気候が、ということもある
ただ、それよりももっと、何か身体の感覚として
どこか、心安い

他の人たちが、日本へ帰りたいと
今さっき発ったばかりの土地に恋いこがれている気持ちを
いろんな表現で云い表している
本当は、そういうものなのか、と
いくらか不思議な気持ちで、聴きながら
飛行機の中で見た満月を確かめようと
窓から空を仰ぎ見る

日本でもきっと変わらない、明るい月だった

2010/03/23

昼間の街





平日の昼間は仕事があるので滅多に出られない
仕事が切れたので、初めて休みを取って街へ出る

市場の様子
蓮の生花を初めて見る
青い海老、縛られた蟹
生気に満ちた人々


2010/03/20

呼び起こされるもの 思い廻らせること

熱を帯びた風から
もうそろそろ1年が経つこの土地についた日のことを
思い出す
飛行機から出た瞬間の
身体を押し上げられるような空気の塊のことだ

たくさんのことがあったようで
たくさんのことを感じたようで
でも、土地に根ざしたものがなかったり
成長が実感できなかったり
むしろ停滞しているのではないか
後退しているのではないか
自分に対する不満がつのる

来週、ほんの短い期間だが、帰国する
何を携えて、帰国をするのか
何か、この土地について
この1年について
愛情を持って話すことができるのか
ずっと、でも、随分ぼんやりと、考えている

2010/03/18

逃避行


仕事に切れ目がついて、いくらか時間に余裕ができる
もちろんすることもあるはずなのだけど
ぼんやりとしてしまって
誰も買って出ない屋外での仕事などをしながら
敷地の外の、草の揺れる野原などを眺めていた

どんどんと暑くなってゆくこの季節
雲はいよいよ夏空の形になって
風が熱気を帯びる

久しぶりに草の葉が摺れる音を聴く

こそこそと、さぼりの高校生のように
外仕事の合間、建物のかげに隠れ
本を読む

また、須賀敦子を読み
また、いしいしんじを読み
弥生ついたち はつつばめ、とか
とん、たたん、とん、などと口ずさむ
それからまた、仕事の続きをする

2010/03/10

バイクの後ろ

こちらの交通手段といえば、圧倒的多数の人がバイク、と答えるかと思う
個人的には、こちらへ来てから、タクシーに乗ることがほとんどだった
自転車を持っているので、週末は自転車に乗ったりもする
セオム、と呼ばれるバイクタクシーに乗ることも少なくない

週末、バイクの後ろに乗せてもらって少し遠出をした
何が特別かと云えば
ヘルメットを買ってしまった、ということだろう
二人乗りまでは合法だけれど
ヘルメットがなければ捕まってしまう
たまたま、バイクの持ち主が予備を持っていなかったので
どうにもセンスの悪い、たった、ほんの200円ぐらいの
ヘルメットを、買ってしまった
捕まらないための飾りだ

バイクの後ろは気持ちがいい
運転をするにはあまりにもストレスの多い交通ルールも
後ろに乗っているだけではそれほど感じない
もっとも、あまりにバイクの量の多いところでは
膝が隣のバイクと当たってしまうのではないかと、心配になるけれど
単純に、風が、ここの暑い気候に心地いい

バイクに乗ることは
そろそろ1年になるこの土地で
新鮮に、ベトナムに居ることを感じることができる
一番の方法のようだ