2008/04/04

旅のはなし2


ジェノヴァは港町で、リグリア州という海岸線に沿った細長い州の真ん中辺りにある。

ジェノヴァと聴いて真っ先に私が思い出すのは、私の好きな須賀敦子という作家のはなしです。

まだ空路がほとんど使われていなかった1950年代に彼女はフランスに留学する、そのときに船での航海の末、初めて降り立ったヨーロッパの地が、ジェノヴァだったと、書いてありました。その時代の、海におけるヨーロッパの玄関、というところなのでしょう。

ただ、現代では大陸間は空の方が主流だからなのか、一時期は随分とジェノヴァも廃れ、1992年コロンブス生誕400周年の記念事業で街に手が入ってからやっと、観光にも重点のおかれる街になったようです。そして、そのときに、私の中でのジェノヴァの目玉、ジェノヴァ水族館が作られました。反対に云えば、水族館の他にはほとんど何の目的も無いまま、ジェノヴァに往ったのでした。

美術に関わることをしている人間だったらば、必ずやローマ、フィレンツェ、とくるのですが、残念ながら時間に余裕もありませんでしたし、第一に、恥ずかしながら、あまり関心がありませんでした。ちょうどわたしにはジェノヴァという土地がよかったのかもしれません。


0 件のコメント: