2018/01/06

年の瀬から年始にかけての、音楽事情


年末には必ず、今年の音楽まとめ、のようなことを勝手にするのだけれど、
あまり豊作とは云えない年だった、と
12月に入ったあたりで、思っていた。

そもそも、いつも新しい楽曲のアップデートは、帰国中にする。
タワレコに往く日、というのが帰国のスケジュールに必ず、丸1日とってある。
本屋と並ぶ、大事な時間だ。

旧年中は1回だけしか帰れていなくて、
そこで買ったCDは1枚だけだった。
だから、豊作ではない、ということになる。

ただ、最後の数ヶ月でライブ音源を中心に小さなヒットを連打し、
昔から聴いている曲たちと、いい具合に混ざって
個人的には一貫性があった、らしい。



視聴できない代わりに、
今年一年も、NPRのTiny Desk Concertに随分と助けられることになる。

いつまでも、自分でもよくわからないところに居ると、
とかくよく思う、年末だった。
定住できない人間は、ノマッドを体現する曲調で、自己肯定を試みる。
飽くまで試みなので、うまくいったためしはない。

浮遊していても素敵じゃないか、なんて思いながら
地に足つけるために、屋上の部屋から毎朝出勤のために降りるわけだ。






このサイトで、年末にみっけものだったのは、この曲だった。
ライブ版の方がいいので、最後の曲(10分ぐらいから)のものを。



ピアノがあったら、歌いながら弾けるのにな、と思った。
アラブの曲は、歌詞を口にするだけで必死にならざるを得ない
吉田拓郎も驚きの歌詞詰め込み型が多いのだけれど、
この曲ならば、歌える。

この人の不思議な踊りは、以前うちのお向かいに住んでいた
レバノン人ローラちゃんを思い出す。
ほんと、お酒を飲んでご機嫌になると、そっくりな身体の動かし方をしていた。

歌詞が少なめで何とか追えるけれど、
アラブ人独特の、若干本来の音よりも低く感じる
憂いのある声は、残念ながら
平均律で育った私には、一生出ることはないだろう。
それでも、音だけは出し放題の屋上の家で、1人真似をしてみたり、していた。


そして、自分の声に、あらためて失望することになる。

仕方あるまい、音楽は聴くものだ、と、腹をくくる。

日本に戻って、アルバムを買ってからしばらく、
ずっと聴き続けていたAsgeirもライブをしている。







11月にあたりから、よく聴いていたのは、この曲だった。
アルバムの1曲目だから、というのもあるのだろう。
他の曲もいいのだけれど、いつでもどこでもSting、という感覚は、残念ながら、ない。
イントロの音だけならば、スコットランドでも思い出しそうなものだけれど、
荒野のイメージは、この土地に合っていた。








やはり、寒いからだろうか。こういう楽曲に往きがちになる。
そして、心底冷えて、これはいけない、と何か、親密なものを聴くことにする。




以前も載せたけれど、やはりこのライブの音源が一番いい。


そして、近くて親しいものものはいくつかあるのだけれど、
最終的にはいつも、この音源になる。




いつ聴いても、グールドのintermezzoは、
濃淡や光と影が、明確に描き出されている。
他の人の演奏の方が正当派なのかもしれないけれど、
聴きたいと思うのは、この音源だ。
随分練習した曲だから、ピアノがあったら弾けるのに、と思う。


この映像も12月によく聴いていた。
完全にジャズというよりはフュージョンだけれど、
元々はクラシック畑の人なんだということが実感できる旋律だ。
楽しそうなのが、とにかく、とてつもなく、素敵だ。
これを聴いてから、よし、仕事へ往こう、ということになる。
幾分暴力的だけれど、そうでもしなければ、出かけられない事情もあるのだ。







年の瀬に豊作ではないことを後悔し始めた頃、
年末恒例BBCの昨年のベストアルバムをチェックしていて
久しぶりの名前を目にした。






この人たちの曲をよく聴いていたのは日本だったので、
私はこの曲の感覚がどこから来ているのか、分かっていなかったんだと、
気づくことになる。
寒さから一転、恐ろしく乾燥したところに耳だけが移動する。
マリの砂漠。


BBCサイトの紹介では、この人の楽曲も全般的に好みだった。
音の作りもそうだけれど、声が好みだ。
それから、素敵なドレッド。
ぜひ、次に日本に戻ったら、アルバムを買いたい。







年が明けてやっと2連休が取れた日の朝、
たまたま掃除の間にかけていたこのライブが、気に入った。

年末年始に預かっていた猫の毛が家中に落ちていて、
何だか掃除をしながら、寂しくなる。
アンマンは雨が降っていて、雲が形と厚みを変えながら
流れ続けていた。
寒いところからやってきた音楽だ。






つまるところ、昨年から年始にかけて
時々寒すぎて、暖を取ったけれど、
アイスランドやスウェーデンなど
寒いところにご縁のある音楽事情だった。

アイスランドに往ってみたらいいのかしら、と
アイスランドの景色の写真とかを、見たりした。
いっそのこと、極寒の地で潔く、寒さを楽しんだら、いい。

こんな大量の電気を消費しながら
あんなに寒いのがいやだいやだと云いながらも、
きっと、あの空気にさらされたら、
もう少しまともな思考回路になるはずだ、と
あの、鼻がつんとするような、
脳天を刺激する冷たさが、恋しくなり始めている。




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