2010/09/30

小さな、ごく小さな住民の捕獲


朝、仕事場で小さなざわめきが興る
廊下に落ちていたらしい

吸血鬼はここから来たのだろう
咬まれたら確実に
狂犬病の菌を植えつけられる
夕方から飛び回る空の住民

危険だから捕獲され
こんなに小さい、まだ子どもの
こいつはペットボトルに入れられて
私のカメラに納められ
それから、きっと、ぽいと
コンクリートの上に捨てられた

よく見ると
耳があり、口があり、小さな牙があり、骨ばった手があり、獣の毛に覆われて
当たり前なのだけど
つくりもののように、よくできている

まじまじとペットボトルを回す
衰弱しきって腕を伸ばすこともないこいつは
でも、ひそやかに首を動かしている

ペットボトルが微かに曇っていた


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