例えば、宮沢賢治の話や詩の中には
たくさんの鉱物や地層が出てくる
黒い露岩、泥炭層
花崗班糲、血紅瑪瑙、
蛇紋の諸岩、巨礫層
その文字が、冷たさや色や硬さや湿り気を持って
文中に浮き上がる瞬間がある
今また、宮沢賢治の詩集などを手に取ると
鉱物図鑑を日本に忘れて来たことを
後悔する
もし、彼がこの石たちを見たら
どうやって、表現に使うのだろう
拾ってきてしまった
名前もよくわからない、石たち
草も生えないような土地には
金属のような硬さと、鋭い音を持った石
陶片に鉄釉をかけたような色だ
時折、姿を現す、周りの景色の厳しさと無縁のまるい石
ただの無機質な、火星の表面のような石の質感なのに
割ってみたら、青い色が走っていたりする
手のひらに乗る大きさの石は
転がっている時には、何でもないものなのに
手に取ってしまうと、その瞬間に
感触とともに、突然意味を持ち出す
石を拾うくせがある
そして、撫でて、見て、握ると
つい、ポケットやバックの中に入れてしまう
そういうものたちが、最近、ふえている
ひなたぼっこの場所を取られた、と
ラファがいじったりしている
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