大人の遠足、などと云うフレーズを聴くと
つい、吉永小百合の清楚な後姿などを思い出して、
ああ、ああいうものか、などと思っていました。
たとえば、花火を見るときに綿菓子を食べながらタバコを吸う、とか
お酒を飲んで、恋人の肩でも抱きながら映画を見るの、とか
何となく、大人の特権、のようなものとは、
いくらかロマンティックなもの、も、私の中には多分に、含まれていたようです。
甘かった。
一番の特権は、子供と同じぐらいはしゃぎながら
朝からお酒を飲むことで、
それは、子供と同じぐらい、というモチベーションがあればあるほど、
特権的になる、ようです。
何の話をしているか、というと、
日曜日に参加させていただいた
「大人の遠足vol6」なるもののこと、で
私が見た、酒飲みの生き様、の話なのです。
ここでは、数回に分けて、知っている人にも知らない人にも、
こんな日曜日があるのだ、という報告、もしくはドキュメンタリーを
お伝えすべく、綴って往きたいと思います。
ちなみに、本編は、主催なさった「フィンラガン」というお店のマスターによる
ブログがあります。
これはあくまで、お酒に弱いのでほとんど飲まなかった私が
素敵に酔っ払った方々への
冷静で、でも温かい、
敬意と畏怖の念と愛情に満ちた視点から書くもの、だと
思っていただきたい。
前置きが長くなりました(でも、いろいろ問題が発生しそうなのでこれぐらい必要なのです)
出発から。
朝7時に集合とのこと。前の晩遅くまでお店にいたので
マスターに電話で起こしていただきました。
7時ぎりぎりに集合場所に着くと
もう先にいらした方が、バスに乗せる荷物を降ろしていました。
バスが予想以上に大きかった。
荷物を乗せようと車内に入ると
うわさの「ラウンジ席」なるものがバスの一番奥にありました。
前方に向ってコの字型にいすが取り付けられていて、
真ん中にテーブルがあるものです。
この時点で私は、絶対にここには座るまい、そう思いました。
あれよあれよという間に、酒瓶が保冷トランクの中に詰め込まれ
いざ出発、
途中何人かを道中で拾い、
時計は7時半、もう、マスターとクイーンはワインを開けていました。
シャンパンも開きました。
ブラザートム風のMM氏がなぜか大量のせんべい配りの交戦を始めています。
女性に優しいS氏は、女性分しかない、お菓子を早速、配っています。
ラウンジではプルトップの音が鳴っています。
いつの間にか、みなさんのコップに酒が入っているのでした。
私は持参した野菜ジュースを飲みつつ、ワインを後ろに送ったり、食べ物を回したりしていました。
8時前に谷田部から高速に乗り、
当然のように守谷のサービスエリアに寄ったことを、
明記しなくてはなりません。
I氏のおいしい豚や鳥を八時半ごろには堪能し、
新たな種類のせんべいが配られ、
ドライフルーツが流れて、
ワインは次々と開いてゆき、
一番前で、マスターの手により開けられたワインは
最後ラウンジで一気に、男気あふれるおにいさん(?おじさん?おっさん?)によって
消費されてゆくのでした。
首都高は比較的空いていましたが、計算ミスをした方々は
もう、トイレはまだかと、繰り返しおっしゃっていました。
自然とそちらの方面の話になり、
朝9時の時点で、どうやって、液体を入れ物に入れるのか、何に入れるのか
を話し合っているのでした。
そこで、ワインの空瓶はどうか、ということになり
いざというときのために、マスターの手中にあるコルクを取ってくる、ということになったのですが、
勘違いをした、よく働かれるK氏は新しくまた、
ワインをマスターからもらってラウンジへと戻ってくるのでした。
ラウンジの方々は、ここぞとばかりに、日ごろの成果を存分に発揮し、
肝臓腎臓膀胱を、フル活用されていました。
海老名でメロンパンを、足柄過ぎのサービスエリアでしっかりトイレへ往き
やっと、東名沼津を下ります。
もうそのころには、服の胸元あたりに
しっかりとワインのしみを作っている方が、何人かいらっしゃいました。
本当は服のシミシリーズの写真を撮りたかったのですが
顰蹙を買う恐れがありましたので、止めにいたしました。
紫、黒、ベージュ、きれいなシミが、何かの勲章のように胸元を飾っていました。
沼津は晴天、湿度もたっぷり。
ベアードブル―イングの向かいの、港に面した駐車場にバスはとまりました。
降りた瞬間に、水分が蒸発してゆくような、とても暑い、お昼前でした。
そして、ベアードブルーイングの経営するお店、タップルームへと
一行は向いました。
階段を登るときに、フィンラガンと同じ、木の香りがしました。