ヨルダンの寒さは、日本と質が、違う。
足元が、しんしんと、冷たい。
どことなく夏を引きずったような、
中途半端な日々が、9月から2ヶ月近く続いた後の、
雨だった。
空気が、澄む。
そして、音楽が耳に馴染む季節がまた、やってくる。
そして、毎年のように、
寒さが、音を連れてくる。もしくは、
寒さに、音の温かさが、沁み入る。
夜に、無音の音がするのが、
寒くなってきた証拠のような、気がする。
しん、とした空気は、
秋と冬にしか、存在しない。
ずっと欲しかったデータを、ダウンロードする。
何だか、本当に、
音が好きなんだ、と思わせてくれる。
ありとあらゆる、周囲の自然の音は
セッション相手、というように。
#1から#51まで。
Bandcampという音楽サイトから購入できる。
自宅で録音された音には、ピアノの他に
雷や虫の鳴き声、雨だれの音が、入っている。
自然の音を聴きながら、
鍵盤に手を乗せて、演奏した記録のようなものだ。
もっと早くダウンロードしていればよかった。
虫の音には、少し寒くなりすぎた。
リリースのタイミングが、演奏した時季。
だから、春も、夏も、秋も、冬も
それぞれの時季の音が、入っている。
ピアノを弾きながら、ふわっと漏れる声や
アイヌ音階のかけらや、
ささやかな合奏も、入っている。
不思議なのは、
このデータを聴いていると、とりあえず
何かを集中してする、態に入る、ということだ。
ライブなども久しぶりに見たり、する。
なんだか、とにかく幸せそうだし、気持ち良さそうで、
あぁ、なんでこんな風に、ずっと
ピアノが弾き続けられたらどんなに、素敵だろう、と
思う。
最近、ぎすぎすした音楽しか聴いていなくて、
それはわたしがぎすぎすしていたからだ、と
分かっていても、どうしようもなかった。
実に3ヶ月は続いた、
致命的な「いい音楽不足」に
終止符を打てる、はずだ。