アンマンから北西に少し上がった
サルト、という街の郊外へ往った
陶芸家の人のお宅
ドイツ人とギリシャ人のハーフの彼女は
ヨルダン人と結婚した
そして、3人の息子に恵まれ
ヨルダンに住む
陶芸の土をもらうために訪れたのだけど
本当は、ロバに会いたかった
でも、ロバは年末に亡くなってしまった
18年生きた
ロバは30年近くは、生きる
どうして早く死んでしまったのか、といったら
いつも、大好きな馬と一緒にいたからだった
馬のえさはロバには栄養過多で
だから、長くは生きられなかった
広いロバと馬のための運動場の真ん中に
ロバを埋めた
馬は小屋に入れられていた
外に出たいので、どんどんと壁をたたく
アーチ型の窓から
頭を出して様子をうかがう
馬を触るのは初めてだった
賢そうな顔をしていた
少し怖かったから
とりあえず、頭で馬と交信してみた
庭は広くて
オリーブ畑と大きな樫の木
樫の木には昔
ツリーハウスがあって
小さな頃の息子さんたちが遊んだそうだ
斜面にそって植えられたオリーブ畑の下には
洞窟があった
夫婦で作っていった家が3件も建っていた
2件は工事中だったけれど
ガラスの嵌められていない窓からは
遠くの緩やかな丘が見えた
サボテンの温室もあって
種から育てた大量のサボテンが
床や棚に並べられる
日本産のサボテンもあった
外で食事をいただいて
家の中ではお茶をいただき
シェルターから救い出した
これも賢そうな、でもアラブ人嫌いの犬が
私の様子をうかがっていた
日が傾きかけた窓の向こうで
久しぶりに小屋から出してもらった馬が
運動場には往かずに庭を歩き回る
息子さんや旦那さんが
運動場に入れようといくらかの格闘をしていた
帰りがけ
馬は近所の子供たちにちょっかいをかけられていた
子供たちは持っているおもちゃを
馬の鼻に近づけたりする
つかず離れず、戯れる
それほど嫌そうでもなくて
まんまるの目で
二人の子供を見つめていた