久しぶりにガイドブックを開き
往ったことのなかった店を訪ね
通ったことのない道を歩き
新たな街の姿を見る
知っているはずの街だったのに
観光客の視点から
今までは気にもかけなかったものや人が
突然自分の前に現れる
忍耐強いドライバー
美しい刺繍の布
動物園へ通じるまっすぐの道
よく熟れたマンゴー
靴磨きの少年
それから、自分の基になるものも現れる
家族それぞれの姿の断片が
一つ一つ自分の中にもあって
いいところも悪いところも
いっしょくたになって
標本でも見るように並べられ
そして、入れ物からこぼれ落ち
ころころと転がっていった
振り返れば、おかしい
空港へと向かうバスを見送ると
バスが走り去っていった後の
見慣れたドンコイ通りに一つ、また
新しい記憶が残される
街と、そこに住み、街に留まる自分の姿
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