朝、仕事場で小さなざわめきが興る
廊下に落ちていたらしい
吸血鬼はここから来たのだろう
咬まれたら確実に
狂犬病の菌を植えつけられる
夕方から飛び回る空の住民
危険だから捕獲され
こんなに小さい、まだ子どもの
こいつはペットボトルに入れられて
私のカメラに納められ
それから、きっと、ぽいと
コンクリートの上に捨てられた
よく見ると
耳があり、口があり、小さな牙があり、骨ばった手があり、獣の毛に覆われて
当たり前なのだけど
つくりもののように、よくできている
まじまじとペットボトルを回す
衰弱しきって腕を伸ばすこともないこいつは
でも、ひそやかに首を動かしている
ペットボトルが微かに曇っていた