「アリス イン ワンダーランド」でもみたいような、気分だった
つまり、少し疲れていた
なぜか案内のパンフレットに載っていたアリスをはじめ
映画たちのほとんどはなく
その代わりに、題名だけはよく慣れ親しんでいるものを見つける
イーユン・リーの「千年の祈り」
クレストの新書の表紙はいつも素敵だが
静物が、言葉としてとても適切な静物として、映っているその表紙に
いつも本屋で後ろ髪ひかれていた
静かな映画だった
室内の場面が多いせいか、影が濃い
ちょうど淡い色の壁がほんの少し翳るように
澄んだ影が室内を司る
ちょうどどことなく大学街が舞台で
つくばの景色にも似ていて
主人公の親子の小さくて深い溝も近しい何かだった
百世修来同舟渡、千世修来共枕眠
共に川を渡ろうと思ったら、三百年は祈らなければ
その思いは果たされない
枕を共にしたいと思ったら、三千年は祈らなければ
その思いは果たされない
親子ならば千年
アメリカで暮らす娘に会いにくる父親は
律儀でまじめで、静かだ
言葉が少ないことの重さに
親子は共に、耐えきれていない
ただ、きっと、そんなところから絞り出される
言葉のいくつかはもっと重くて
でも、だからこそ、本当に祈りのようで
口にすることの意味を、思い知らされる
映画を観た後、しばらく
最後の場面から、彼らはどこまで理解できたのだろうと
ぼんやりと、思った
本当に思いが通じるのであれば
本当に理解しきることができるのであれば
千年という年月は長くはないのかもしれない
そして、そのまま寝てしまった
0 件のコメント:
コメントを投稿