そろそろ、家の前の街路樹である火炎樹も
花を咲かせる季節になってきた
火炎樹を見上げる姿を
渋谷か銀座の映画館の前で立ち止まり
じっと見つめた時から、もう
10年近く経つ
それから、ベトナムと云えば一番に
この映画のポスターを思い返していた
もちろん映画も気に入っていた
随分久しぶりに見る映画には
もう一つの楽しみ方があった
撮影の舞台はホーチミンの中心街で
10年前のホーチミンの様子を見ることができる
ハーヴィー・カイテルがぼんやりと座り続ける街角や
物売りの少年が追い出されるホテルや
シクロが走るロータリーが
変わらず今も残る
映画の中の街を走るバイクはどれも、古いカブだった
ここ10年間の発展が伺える
ただ、話の核になる生花の蓮を見たことがない
香り高い蓮の花を自転車の後ろに乗せて売る様子を
実際の街の中で見ることはない
ハーヴィー・カイテルが再会した娘に蓮の花を渡すシーンが好きだ
蓮の花はないけれど
街の持つ雰囲気を充分に味わえること
それから、細やかな視点を持てば、
街はもっと違って見えることを
知ることができる映画だった
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