確かに大好きだけれども
物件を探す時点で
いくらかの後悔をしていた
いくら好きだからといって
それほど都合良くは物件が見つからないのが
アンマンの難しさ
ベランダに貼り出した電話番号は
いっこうに通じず
やっと通じたと思ったら
繰り返しかかり続ける
いやがらせの電話か
もう決まってしまった、という
非情な冷たい回答がまっているだけだった
それでも
何とか見つけた新しいアパート
近所迷惑など省みず
大音量でブラームスやJames Blake, Dollar Brandを聴いたって
誰も文句を云ってこない
いい物件だ
根本的には引きこもりなのだけれど
風通しがいいのは、いい
ベランダで水タバコでも吸いながら
音楽が聴ければ、なお、いい
きっとアンマンが好きなのは
単純に
夜の灯がきれいだからだ
それからよく響くアザーン
どんな美しい旋律も
折り合いをつけてくれないのだけれど
登って降りる冷淡な坂道に
日々歩きながらうんざりし
それでも、だからこそ
一望させてくれる家々の窓を眺める
丘の連なりが
夜は美しい
遠くの車のヘッドライト
遠くに見える
ばかみたいに大きな国旗
でも、アンマン城を愛しているのか
アンマンを愛しているのか
ただ、自分のごく小さな周辺の
ごく偏屈な空間を愛しているのか
よくわからない