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ヨルダンの春は、随分あかるくてにぎやかだ
春は花が咲き乱れ
子ヤギがよく跳ねる
もう、少し春には遅いぐらいの時季になってきた
枯れかけた花の跡も
青い草の中に点在する
ヨルダン北部、アジュルンという地域の丘の上
百年以上の年月を生きるオリーブの林が続く
持参した食べ物をいただき
春の空気を満喫する
それが、何よりも楽しかった
空には雲一つなくて
日差しはカメラが捉えきれないぐらいの
目一杯の光
もう、木陰の方が気持ちがいい
日差しの下では、暑いぐらいだ
樫の木の林の中で
ごろりと横になる
下から見上げる樫の木の枝の間には
小さな小鳥の巣がある
遠くからヤギを追う犬と男の声が聞こえる
空気がおいしかった
アンマンにも春はある
バカアにも春はある
ただ、日頃の生活の場は
うとましいものごとが多い
誰の目もはばからず
ただ、木の下でぼんやりすることが
ずいぶんと、自由に思える
日本ならば
喫茶店にあって
公園にあって
街中にあった自由だ
ヨルダンで、初めて感じた
身体や気持ちにとって、自由な場所だった
人里離れた丘の上
先週の金曜日、死海マラソン
障害者分野のボランティアが活動をする施設の
生徒や利用者たちの参加にあたり
伴走する、という手伝いをしてきた
今回一緒に走ったのは、ライダさんという人
彼女はあまり話さないけれど
穏やかで、笑顔も多い
暑い日だった
死海のほとりを走る道路を往く10キロコースは
はじめから最後まで
死海周辺の気候だから
湿気も多いし、日差しも強い
でも、ライダさんは最後まで歩いた
途中ほんのちょっと休憩をしたけれど
歩調はほとんど、変わらなかった
しっかりした足取り
参加者の多い10キロコースは
周りに人が溢れていた
きっと彼女も
こんなにたくさんの人たちが道を歩いている様子なんて
見たことがなかっただろう
だから、アンマンマラソンの時と同じように
ずっと手をつないで、走ったり歩いたりした
でも、暑いのだ、とても
だから、ライダさんは途中で
くるり、と私の後ろへ回って
私の反対の手を、取った
歩きながら器用に
私と彼女はお互いに
少し汗ばんできたな、と思ったら
くるりと、反対の手に移動する
それが何だか、素敵だった
どうも彼女はいたずら好きで
さりげなく人の肩をちょこっと叩いたりするのが
好きらしい
誰だろう?と振り向く人たちの様子をみるのが面白い
皆で記念撮影をしているときも
前に座っている人の肩をつっつく
それから、きゅっと、自分の肩をすくめて
いたずらっぽく笑う
それを見ているこちらも
思わず、にやっと笑ってしまうのだ
10キロ歩いたあとでも
まだ、そんないたずらををやってのける彼女と一緒に
参加できた今回のマラソン
随分と楽しかった