小さな頃、よく休みの朝に
父親と一緒に喫茶店へ往った
その時にきっと
バッハのプレリュードやイングリッシュスーツは
店の中でずっと流れていたような気がする
よく分からないけれど
とにかくずっと、弾いている
切れ目なく流れる音を
それこそするすると聴き流していた
毎朝聴けばそれなりに
音が身体に入ってきて
終止音へ向かう音の連なりのおもしろさや美しさのようなものが
分かってきたような気がする
新しい洋楽を手に入れることはできないから
自然とクラシックのCDばかりを手に入れてきた
耳がようやく
本当に楽しむことに、慣れてきた
グレン・グールドの演奏の何が
例えば独創的だったりするのかは
未だに聴き比べるところまでいかないせいで
分からないけれど
均等のとれた情熱があって
不思議な気持ちになる
また、ブラームスの交響曲の2番も
DVDでよく聴いている
1楽章目のメロディーが好きで
その部分を
バーンスタインが簡単なアナリーゼをした
映像もついてる
バーンスタインがピアノに向かって
そのメロディーと和音を簡単にさらっている
そのあまりにさらりと
でも味わいながら弾いている姿に
ピアノという楽器の魔法のようなものを
見た気がした
今年の音楽は
どうもクラシック一辺倒のようだったが
新しい耳を手に入れたようで
一つの大切な財産になった
写真は、今年よく通った
ホーチミンのオペラハウス
二日通ったシューマンのピアノコンチェルトの舞台で
2階のすみっこの
2つしかない席から