2014/01/01

初詣



結局、いつかの休日と
変わらない一日になりそうだ

ただ少しだけ
気持ちを入れ替えなくては、などと思い
それから
日本のお正月がどんなものだったか
思いを馳せたりする

別の国で迎える今日の日が
もう5年目に入って
随分遠い昔のお正月の記憶が
よみがえったりした

お正月は寒い、という記憶
親戚回りのタクシーの中で
雨まじりの天気
雲の間から虹が見えたことがあった

今日のアンマンの空は
その時の空と少しだけ、似ている


午前中に用事を済ませ
午後、アンマン城へ往く
もう、初詣のようなものだ

たっぷりピアノ曲を聴き
本を読んで
次にこの街で家を探せるならば
きっとアンマン城の見えるところに住みたい、と
アンマン城から見える家々に
素敵な窓はないか、探したりする

ひさしぶりに音楽を聴いて
ひさしぶりに本を読む

なぜか、重層性について、考える

自分の声の高い音域と低い音域が
突き抜ける音質と下世話な雑音を含んでいるように
かたちづくるものの二つの要素が
どうも、必要なのだ、と

ピアノの音を拾う
鼻歌のようなか細いものでは
生きてはいけない

ひとつだけでは、何かが死ぬ
もしくは、瀕死に

随分前から知っていたはずのことなのに
仕事に追われて、見失っていた

それが思い出せたのだから
悪くない、普通の、休日



ヘッドホンの音を最大にしていたのに
アザーンだけはきちんと
耳の隙間から入ってくる
観念して、ヘッドホンを外す

いくつものアザーンが重なり
輪を描く

アザーンのときのアンマン城は
車の音も、子どもの声も消える
どこか静謐で、美しい
音が見える