2011/07/28

1.2JDの粘土




どんな粘土があるのか知りたくて買った
テラコッタ、と書いた粘土

お世話になる家に
お土産に何か作ろうと思って
触ってみたら、ひどかった

取ったりつけたりが
全然できなくて
思うように粘土が動かない

結局粘土に張り付いて
乾燥具合をずっと観察
やっと、できたのだけど


こんなの、もらっても困るか、、、

小さな頭
手のひらサイズ

2011/07/24

みどりのものもの



こんなに彩りには華のない土地だけれど
八百屋や野菜のコーナーには
本当にいろいろな野菜が
堆く積み上げられている

日本と変わらない、むしろもっと豊富な野菜の種類に
いつも目移りする
大振りのものが多いけれど
味はしっかりしている


こちらで気に入っているのは
パセリのサラダ

日本で目にするような
縮れたパセリではなくて
一見にはパクチーのような
長い茎と柔らかい葉を持ったパセリ

パレスティナ人の方の家に伺ったとき、いただいた


アラビア語では”料理をする”という単語は
火を通すものにしか使うことができない
サラダのように火の入らないものは
”作る”、または”する”という意味の単語を使う

切るだけで火を通さないこのサラダは簡単だ
パセリ一束とトマト、オリーブオイルとニンニクのみじん切り、お酢、塩
それだけ

あまりに好きで、ここ何日か
ほとんど毎日食べている

今日は、噂に聞いてはいるけれど
まだ食べたことのない
モロヘイヤスープを作ってみる

鶏ガラにモロヘイヤを入れて塩で味を整える
最後に、オリーブオイルと、それで煎ったニンニク
スープに入れる
これも、それだけ

ほとんど料理をしたとも云えないようなものだけれど
とてもおいしく感じるのは
野菜が、おいしいからだ

写真だけ見ると
ただひたすら、緑なのだけど

たぶん、眼が緑に飢えているから
身体で摂ってみているのだと、思う

The Remains of the Day



最近、夕方はベランダで過ごしている
部屋の中には人がいっぱいで
何を話したらいいのかわからないからだ
たぶん、そういう人たちと心地よい会話ができるほどの
人格を持っていない

北側に向いたベランダからは
近くの家の屋上が見えて
貯水タンクの修理をする人や
洗濯物を取り入れる女中さんや
小屋に戻る鳩の群れが見える

日が傾いて夕暮れの気配が訪れるのは
8時近い
空の色が変わる
よく澄んだ浅い紫色の空

なぜか、時折
The Remains of the Dayというフレーズが出てきた

そんな折に、図書室で
「日の名残り」を見つけて
あまり時間もないのに
つい夢中になって読んでしまった

あまりに気に入って
原本も読んでみて
分からない部分も多かったけれど
dignity、と繰り返し口に出して唱えてみたのを思い出す

乾いた土地で読むイギリスの田園風景と
あまりにも抑制のきいた主人公の言葉や感情の往く末は
もう、何度目かのはずなのに
深く身体の底に
云いしれない感慨を残す


「夕方が一日で一番いい時間なんだ」
きっと、この言葉だけをよく覚えていて
それがどんな状況でのセリフだったのか忘れてしまっていた

後悔を苦く噛み締める
そして、夕暮れ時の海辺の広場で
広場を彩る夜の灯がともるのを、待つ

訳者のあとがきでは
「その日一日のなごり、つまり夢」
というフロイトの言葉にもつながりのある
題名だと、いう

けして、それまでの人生の名残りでは、ない

18時前のアンマンでは
まだ、空は高くて青い


2011/07/19

美術館の本





国立ヨルダン美術館を訪ねる

ヨルダンだけではなく
中東を中心にした作家の作品が置いてあった
大きくはないけれど
適度な量で見やすく明るい美術館

ほとんどが平面作品で
抽象が多いのは
イスラム教が理由なのか

何故だか
ヨルダンの作家の作品は
随分と色が抑えられている

そして、2階の奥の部屋には
アラビア文字を使った絵画がずらりと並んでいて
線の集積のように色とりどりの文字が描かれる
文字がほとんど読めないのが残念だけれど
文字までが模様のようで
今までには見たことのない絵画のかたちだった

最上階には小さなライブラリがある

専用の棚に入った巨大な本があった
フランスの監修で
タイルやテキスタイルのパターンが
収集されている
モノトーンから着彩のものまでさまざま
極度に抽象化された均衡を保つ
さまざまなパターンが
ページをめくるたび、次々と出てくる

3冊のうちには
動物がモチーフになった
テキスタイルの見本も少しだけあった

模様として納まるには
あまりにもそのままな彼らが気に入る


入り口の外からでも聴こえる
元気な子どもたちの声

ちょうどサマーキャンプをしているところで
常設の絵画の前で
子どもたちが勢いよく材料を散らかしながら
思い思いに好きなところに座って
作品作りに熱中していた

2011/07/17

語学学校で


ヨルダンの子供たちも今は夏休み
この1ヶ月、語学を学びに往っている語学学校には
夏休みの時間を自主的に
英語の学習に使っている子供たちも来ている


彼女は11歳で
でもその歳にしては信じられないほど
根気のある子で
私のさっぱり進まない語学の練習に
我慢してつきあってくれる


金曜のお休み、どこへ出かけたか尋ねてみた
ダファ、へ往ったの

全く聞き取れなかったので
左手の甲に書いてもらう
でも、うまく読めない
子音ばかりの言語は
発音を覚えるしかないからだ

それはどこ?
パレスチナよ
車で?
そう
誰かに会ってきたの?
ううん、会ってない


それがどこなのか分からなくて
語学の先生に英語で尋ねた
パレスチナ西岸の地域の名前だと
彼は答える

地図を探してみたけれど
それがどこなのか、それらしき名前は見つからなかった

週末に西岸地区へでかける子供の話を
もう何度か耳にした
そんなに簡単に往けるのだということに
初めて耳にしたときには驚いた

おじさんに会ってきた、とか
いとこの結婚式だった、とか

私は西側に往くことができない
すぐ隣の、随分遠い土地だ
明日は、彼女の根気のよさに甘えて
もう少しだけ、西側の話を訊いてみようと思う




2011/07/11

「日本の名随筆」を読む



今住んでいるアパートメントには
日本の本がたくさんある

何もする気にならない夜
何を読もうか図書室のようになった一室を
隅から隅まで、点検する

見慣れた背表紙に手を伸ばす
そういえば船便にもこのシリーズの2冊ばかりを
入れてきているはずだ

作品社が出している「日本の名随筆」のシリーズは
一文字のものが100冊
熟語のものが100冊
シリーズで出ている
ヨルダンで見つけ出した一冊は
「宙」 1988年の出版だ

随筆集など読もうとすると
雑多な編集だったりして
目的の一編を読んだら
もう他には読む気がわかないものばかりだったりする
でも、この本たちはどのテーマをとっても
飽きずに読むことができるものばかりだ

言葉を主題にして
様々な著者の随筆が収まっている
だから、本職であるエッセイストもいれば
人類学者や地理学者、写真家や画家、
様々な職業の人々が書く
質の高い随筆を読むことができる

多方面からの視点を得ることができるのが
一番の魅力なのかもしれない
時折、そのテーマが合う人が居れば
誕生日に渡したりもしていた

「宙」には
萩原朔太郎や筒井康隆、稲垣足穂から
寺田寅彦、花田清輝、澁澤龍彦、梅原猛、中村元から小尾信彌など
多岐にわたる著者が名を連ねている

一日の終わりに宙のことについて
ふらりと考えたりする

見逃していた詩が表紙裏についていた

宮沢賢治「春と修羅」より

有明

起伏の雪は
あかるい桃の漿をそそがれ
青ぞらにとけのこる月は
やさしく天に咽喉を鳴らし
もいちど散乱のひかりを呑む
(波羅僧羯諦 菩提 薩婆訶 )

2011/07/07

都会に住む


アンマンから南に下った町へ往った
友人の住む家の契約に同行させてもらう

白と茶褐色の色は変わらない
でも、白茶けた土地には白っぽいオリーブが立ち並ぶ
オクラとスイカの畑も広がっていた

どこも緩やかな丘で
どことなしかイタリアの田舎の丘陵地帯を思わせる

友人の借りる家は
町の中心から少し離れた
オリーブ畑の中腹にある
白くて大きな家だった

大家の老夫婦が迎える
何もかもが少しずつ小さくて
たくさんの皺がよく似合うかわいらしい夫婦だった
仕事場から歩いても出勤できる
オリーブ畑の先にはプールもある

帰りがけに大きな木いちごの実をいただく


でも、私は
アンマンに住むことになりそうだ
いろいろと考えて
最終的に初めの場所に戻った

それがいいのか、わからない
正直、まだ迷っている


人との距離がわからない
人との距離が、私にはまだ、怖い
都会に紛れている方が
自分には合っているような気がした
思い過ごしかもしれないし
まだ慣れていないからなのかもしれない

まだ、よくわからない

2011/07/02

遺跡の中



音楽会へ往く

ダウンタウンのローマ劇場の中で
音楽祭が続いている情報をいただき
連れていってもらう

ギリシャ時代の遺跡を見るのは初めてで
さらにその中で
音楽を演奏できる環境に、驚く

アンマン在住のパーカッショニストが
様々なアーティストとセッションをする

小さな劇場だった
階段に石の色に合わせたアイボリーのクッションを敷いて
観客席がつくられる
思い思いの場所に座って
音楽を楽しむ


そう云えば、打楽器は
一番大切なパートだと
「麦ふみクーチェ」の中で云っていたのを
思い出す

夜の風は冷たくて
日は長い

まあるい満月のような太鼓が気に入った
何か、楽器が習えるといい
物色をする

ヨルダンの音楽事情について
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